読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

出る杭はママ社員に打たれる

4月は新入社員を受け入れる季節でもあると同時に、異動による新たなメンバーを受けいる時期でもあります。異動によって、見知らぬ土地でチャレンジする人もいれば、今までとは全く異なる環境で仕事に臨まねばならない人もいます。

 

大手企業に勤めるWさん(女性)は、この春、社内でも女性の多い職場、それもママ社員の多い部署へ異動となりました。異動当初はいままでマイノリティだった女性が大半を占める職場の雰囲気に戸惑いながらも、早く仕事に慣れなければならないと多少の無理をしてでも初日から全力で業務に取り組んで来たのでした。

 

しかし、異動して2週間ほど経過した頃から、この職場のママ社員の異常さに気付き始めます。それは、部署のママ社員の大半が育児を言い訳にすることがとても多いのです。一般社員に比べ少ない業務量にも関わらず、与えられた仕事に対するクオリティは低く、しかも可能な限り仕事を引き受けないようにあの手この手で拒否しようとすると言います。Wさん自身も、そんな同僚と同世代で、幼い子供がいるママ社員でもあるのですが、どうすればこんなレベルで自分自身を納得させることができるのかと呆れるくらいだとため息をつきます。

 

Wさんが辟易する理由、それは、子育て女性社員たちは、子育てママネタを理由にWさんに近づいてきては、

 

「そんなに頑張らなくていいのよー。」

「あんまりがんばられると、私たちがサボっているみたいにみえるからー。」

 

と言い、Wさんのがんばりに釘を刺そうとしてくるからです。一人や二人といったレベルではなく、リーダー格のママ社員がいなくても、取り巻きが絶えず、Wさんを監視しており、Wさんの行動はママ社員内で共有され、さらに何かあるとメールやショートメッセージで抜け駆けは許さないというプレッシャーを与えてくるそうです。

 

Wさんは、このような環境に悩まされていたところ、中野円佳さんの『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)という本に出会ったそうです。さっそく、私も拝読しました。この本は、中野さんが修士論文を執筆する際に実施した、高学歴15人の総合職女性へのインタビューを再構成したものです。分析を通じて浮かび上がって来たのが、男女平等に競争し、勝ち上がっていく意欲があった女性ほど、子どもができるとかえって会社を辞めているという事実。そして、辞めずに居続けやすいのは、ある程度仕事への意欲を引き下げた、ゆっくり働ける人という事実です。

f:id:ki44fukushima:20170427000123j:plain

 著者の中野円佳さん(「日本の人事部」取材記事よりお借りしました)

 

まさにWさんの置かれている環境そのものであり、加えてWさんの場合は、同僚のママ社員達が、自分達の意欲を引き下げた結果、自分達が批判の対象にならないように、またリストラの対象にならないよう、Wさんのような出る杭を打つところまで周到に行われているのです。

 

この本の最後で中野さんは、仕事意欲の低い辞めずに続けている社員とは異なり、「パイオニアとなって声を上げ、入ってしまった会社を変えていくことも重要」と育児をしながら仕事も続けようと決意表明されています。

 

同じマインドをもち、出る杭として打たれたWさんは、この本で言われている辞めずに、ある程度仕事への意欲を引き下げて、ゆっくり働ける人が、組織の中で結託し、高い志をもった人の足を引っ張っていることも事実としてあることを忘れないでほしいと付け加えます。

 

ただ一方で、中野さんの本にも学術的に欠点がないとは言えません。それは、サンプル数がたった15しかなく、加えて、学歴や夫の収入など比較的恵まれた層へのインタビューから構成されたものということもあり、社会全体を分析したものと言うには少し根拠が弱いように思われます。

 

中野さんは、立命館大学修士を取得後、再び出身校の東大で博士課程に入学されており、様々なデータへのアクセスが容易な環境で研究が可能です。今後の研究にこれらデータを活用しながら、統計学を駆使した実証分析など交えた研究に期待したいと思います。