自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

外資系におけるクビの意味

まだまだ終身雇用の続く日本企業と異なり、外資系において成果を出せない者はすぐにクビ(解雇)になるというイメージをお持ちの方は多いと思います。

 

これは事実でもあり、そうでもありません。実態は、事実上のクビ状態になると言えると思います。それはどういうことでしょうか?

 

責任の所在のあいまいな日本企業に対して、外資系では全ての社員一人ひとりが必ず数値目標KPI(Key Performance Indicator)を持ちます。営業職であれば定められた売上目標であったり、間接部門であれば担当製品やサービスの利益率等々、自身の企業における存在価値はすべて数字で測定されることになります。

 

そして外資系において、この数値目標KPIを達成できない者たちはローパフォーマーと呼ばれます。この数値目標KPIを達成できないローパフォーマーの状態がある一定期間続くとクビ宣告されることになります。しかし、冒頭に述べたようにこれは事実上のクビ状態ということになります。

 

日本では従業員を簡単に解雇することは残念ながらできません。それは法制度や文化的背景、さらには特定の組織集団の圧力等々、様々な原因があります。本国の本社から見ると、ローパフォーマーをなかなか解雇できないことをいぶかしく思うほど日本の解雇に対する姿勢は先進国の中ではダントツにシビアです。ドラマに出てくるような上司が部下に向かって「クビだぁ!明日からくるな」と言うことはありえないのです。

 

そこで、妥協案として、すぐにクビにできないなら、本当にクビにすべきか経過観察期間を設けることが一般化してきます。その期間は企業によって異なりますが3ヶ月程度が多いようです。

 

この経過観察状態をPIP(Performance Improvement Program)入りするといい、上司が人事とともにローパフォーマーが頑張れば達成できるであろう妥当な目標を設定し、ローパフォーマーがそれをクリアできればまだまだ成長の余地があると判断し、クビ状態から脱却し、これまでの生活に戻れるというものです。

 

しかし、数期にわたってKPIを達成できないからローパフォーマーになった人材は、頑張れば達成できるであろう妥当な目標すら達成できないことが多いのです。そして達成できなかった場合は、やはり自主退職を促されます。ローパフォーマー達自身も数期に渡り数字が達成できない事実を認識し、さらにPIPを通じても改善できない事実を直視すると流石に観念し、PIP期間中に次の仕事を探して転職を果たす人達が大半です。

 

このようにローパフォーマーが自主退職してくれれば、企業側とローパフォーマー側双方で、現状を理解し、受け入れ、円満に問題を終息させることができます。

 

しかし、お察しのように、自己評価が高く、プライドが高いのか、そもそもPIPを受け入れられず、自分にあった仕事を提供できない企業側に問題があると言い出すモンスターも少なからず存在します。この場合は企業リソースだけでは対処せず、外部のプロフェッショナルなど投入して、費用と時間をかけてこのモンスターを駆除していくことになります。

 

ローパフォーマー対応、さらにはモンスター対応、いずれも相当な労力が上司と人事、そして企業全体にかかります。このような非効率を避けるためにも、解雇よりも採用に労力を割き、採用の段階でローパフォーマー、さらにはモンスターを排除できるよう、様々な手法を駆使して徹底してスクリーニングする必要があるのです。GAFA企業の採用方法や、企業のエグゼクティブ採用の様に、採用に費用と時間をかける方がより生産的なのです。一度採用したら簡単にはクビにできない事を肝に銘じる必要があるのです。

 

ローパフォーマー、さらにはモンスターを排除する採用や、マネージャーやエグゼクティブのクビなどについても今後お話できればと思っています。