自分ブランドの磨き方ブログ

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転職における留学の錯覚資産価値

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日本において就職、転職活動を行うにあたってTOEICは最強の錯覚資産だと言われています。

 

林修先生が、初耳学で「本当の実力なんてねえ、誰がわかるかって問題があるんですよ」と述べていたように、「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」及び、それを引き起こす事実のことです。つまり実は英語が話せないのに、TOEICのスコアが高い事で人々勝手に、あなたは英語を話せるかのように錯覚することです。

 

その錯覚の基準として、誰が決めたか長年「TOEIC900点以上=英語が話せる人」と言われ続けてきました。

 

私は某外資系企業で本部長をしています。おかげ様で転職市場でも人気があるようで、今年だけでも非常に多くの転職希望者とお会いして面接をしてきました。そのためTOEICスコアが錯覚資産であることは以前より感じていました。

 

特に弊社は外資系でも、昔から日本に進出し日本企業化している外資ではなく、ガチな外資系であるため、ほぼ日常的にアジアや他地域のメンバーと英語で電話会議で意見を交換し、議論するのが当たり前という企業です。

 

メンバーの大半がTOEICに関しては900点以上を持っていますが、残念ながら900点以上を持っているにも関わらず流暢な英語で、確実にコミュニケーションが取れていると言えるメンバーいない事実もあるのです。

 

そのため、TOEICのスコアだけで候補者を判断するのではなく、これまでどのように、どれだけ英語に関わってきたかを評価基準に加え、候補者を選定するようにしたのです。

 

その一つの指標が留学の有無です。留学といっても色々なものがあり代表的なものは下記になります

 

・日本の大学に入学し、提携している大学への交換留学:所属大学の派遣基準(成績、TOEFLのスコア)をクリアし、志望動機などで選抜され、半年~1年程度の間留学する。留学中に取得した単位を認められるもの、日本・留学先の大学両方の学位を取得することができるプログラムもある

 

・海外大学付属の生涯学習センターで学位無しコース修了:海外大学には収入源として自治体が実施しているような生涯学習プログラムを提供し、大学名のCertification発行することでビジネス化しています

 

・現地英語学校修了:入学にはTOEFLの試験や面接などなく、入学を申し込めばほぼ合格する

 

いずれの留学タイプにおいても、結局は留学期間中にどれだけ現地コミュニティーに溶け込み、英語で学業に専念し、何を取得していたかが重要なのはいうまでもありません。ただ経験上、上記のいずれのコースを修了した候補者でも、英語をグローバルなビジネス環境で不自由なく使いこなせるという人はほとんどいません(その理由は別の機会で)。

 

それでは上記のような留学経験のある方々にとって、留学は錯覚資産としての価値はないのでしょうか?

 

日本企業の英語が必要とされるポジションに応募する場合に限って言えば、応募書類(履歴書、職務経歴書)に取り敢えず書いておけば、英語力に対する錯覚資産として効果を発揮すると言えます。

 

それは、日本企業の採用プロセスにおいて、候補者の英語力を測定する方法はTOEICのスコアや留学経験の有無など、いずれも候補者からの自己申告によるものしかないためです。

 

少なくとも私の知る限り日本企業において、採用サイドから英語力を測定するため、英語で質問をする企業は聞いたことがありません。採用関係者によると、彼ら自身が候補者の英語力を測定する能力がないこと、労力をかけられないためだとも言います。

 

そのため、英語を必要とされるポジションにも関わらず、選考プロセスを通じて、業務経験、人柄、スキルなどを日本語で相手を納得させることができれば、内定に獲得できる確率が上がる近づくと言えます。

 

皮肉なことに、英語力自体がネックで内定を逃すということはないため、留学経験は、日本企業に応募する場合に限って言えばTOEICスコアと同様に錯覚資産として効果を発揮すると言えるのです。

 

希望する企業、憧れの会社に入社できることがゴールであれば、これでよいかもしれません。しかし、転職の真の目的は、入社後パフォーマンスを上げ、様々な経験を重ね、キャリアを積み上げていくかではないでしょうか?

 

錯覚資産だけで入社すると、採用関係者はあなたの英語力に非常に高い期待値を抱いています。入社初日から英語関連業務の丸投げ、場合によっては会議通訳なども依頼されることもあるのです。それらの依頼を通じてあっさりメッキが剥がれるリスクに直面します。

 

あなたがどんなに「数ヶ月から1年程度の留学ではスピーキング力はつかない」とか、「TOEICはリーディングとリスニングの試験なので、スピーキングとライティングは苦手なんです」と言い訳をしてみても、失った信頼は簡単には回復できません。

 

場合によっては、信頼を失ったまま、他の日本人社員よりはましだということで英語関連業務から解放されることはないのです。

 

入社するだけなら絶大な効果を発揮する留学経験。転職活動でアピールする材料として使う際にも、十分に自身の実力を正しく評価し、適切に活用することをお勧めします。