自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

転職給与交渉で内定を逃す人

DODAのレポートによると、転職市場全体では2017年7月~12月の下半期も求人数が増加傾向にあり、転職希望者に有利な売り手市場が続くと予想されているほど、ビジネスパーソンにとって転職がしやすい環境にあります。

doda.jp 

企業の人材ニーズが高くても、より優秀な人材を獲得したいという考えは変わらず、採用基準は不景気時同様に厳しいことは以前もお伝えしました。

 

ki44fukushima.hatenablog.com

今日は、他の候補者よりも一番内定に近いポジションにいたにも関わらず、自分の実力を過大評価し、給与条件交渉で強気に出た結果、そのアドバンテージを無駄にしてしまったOさんのお話です。

 

外資系企業のプロジェクトマネージャーをしているOさんは、ずっと外資系を渡り歩いてきました。企画力、業務実行力、プロジェクトチームのリード力など非常優秀との評価を得てきました。しかし、ITバブル期に運や棚ぼたで成果をあげたマネージャー達が要職を退かないため、なかなか昇進の機会を得ることができず、給与も入社時の900万円程度から昇給しないままの日々が続いていました。

 

アラフォーを迎え、早くマネージャーポジションを経験したいと考えたOさんは、外部に機会を求め、転職活動を開始します。実はOさん、まったく英語が話せずTOEICも600点に届かないなど、自身の英語力に不安を抱えていました。それでも、まずは一歩を踏み出そうとLinkedInの登録情報をアップデートしたところ、さっそく、複数の企業から求めていたマネージャーのポジションの案内が届いたことで、そんな不安はどこかに行ってしまいます。

 

コンタクトしてきたリクルーター達の話を聞くと、どの案件も給与は1500万円以上は出せると言います。そして手始めに、その中でも「あなたなら1500万円は確実」というある企業に応募することを決めたのです。

 

現職での評価も高く成果を上げていたOさんですから、トントン拍子で社長面接までクリアし、あとは人事との条件交渉という段階になりました。しかし、ここでOさんは、大きなミスを2つ犯してしまったのです。

 

1つ目は、「あなたなら1500万円は確実」と言われたことに何も疑問を持たなかったことです。リクルーターは、通常多くの候補者を面接に呼ぶことで紹介者が内定につながる確度を上げようとします。そのため、転職希望者の関心を引くために高めの給与水準など甘い言葉で誘惑することがあります。そのことを考えなかったOさん、リクルーターの給与目安に釣られてその額に200万円を上乗せした1700万円を希望額として伝えてしまいます。企業からすると現状年収900万円程度の人材が、増加率は88%増の1700万円要求してきたのですから、大騒ぎになりました。

 

それでも、企業側は現状年収に対して常識的な増加率プラスαをした30%増の金額はどうかと提案します。しかし、Oさんは、このポジションの責任と業務内容から1700万円の価値ある仕事だということを理由に譲らなかったのです。そうなると企業側採用プロジェクトチーム内でも英語を話せない多国籍企業のマネージャーに1700万円払う価値があるのかと疑問が生じ始めます。

 

2つ目は、Oさんは自分以外の候補者が自分のすぐ後ろまでやってきていることを知らなかったことです。そして複数回あった面接でもその確認を怠っていました。1700万円で譲らないOさんを一旦保留にし、企業は2番手候補者を人事交渉の場に呼び出します。2番手候補者と言っても、能力面ではOさんに遜色ないどころか、英語力は海外育ちということもあり、むしろ優れているのです。そして、その候補者の希望額は、企業側の考えていた現状年収と常識的な増加率を考慮した額だったのです。

 

企業は、念のため最後にもう一度だけOさんに、1700万円にこだわるか確認しましたが、Oさんは、譲れないの一点張り。そして、ついに、企業は今回のポジションはOさんではなく、2番手候補者にオファーを出すことを決断したのです。

 

自身の能力に不安を感じていたにも関わらず、多くの候補者を面接に呼ぶことで業績を測定されるリクルーターの給与目安に釣られてしまったこと。さらには、売り手市場、さらには自分の価値が高いと勘違いしてしまったOさん。自分の現状年収と常識的なアップ率など考慮せず、ポジションの責任や業務内容で年収が決まるという自論を企業にたたきつけたことも敗因です。

 

他にも1500万円以上の求人案件を紹介されていたOさんですが、未だ内定をもらったという朗報は聞いておりません。給与交渉ですべてをふいにするようなことがないよう、くれぐれもご注意を。