自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

特徴のない人がリーダーに抜擢される悲劇

ビジネスパーソンにとって、組織の中で昇進すること目標でもあり、自分の業績が評価され、責任ある仕事を任されることで、自身を高めていくことを意味しています。そのため日々絶え間なく努力しているビジネスパーソンも多いことと思います。

 

しかし、現実は大した業績を上げていない従業員の方が昇進の機会を与えられるということが多々あります。そのような事態が起こるのは、実績を上げてもリーダとしての素養に問題がある場合、その従業員を昇進させる方が上位マネージャーにとって扱いやすいからといったものまで理由は様々です。

 

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※リーダーシップ・チャレンジ[原書第五版]。初版刊行から25年、累計200万部超、ビジネススクールでも推薦図書に指定されています。大好きな本です。

 

しかし、後者のような大した業績を上げておらず、ただ上役から扱いやすい可もなく不可もない人物を昇進させた場合、その組織が崩壊してしまうこともあります。

 

グローバル企業に勤めるTさんは、競合の大手企業から今の会社に転職しちょうど5年目を迎えました。Tさんは、前職企業でマネージャーを務めていたこともあったのですが、前職での相次ぐリストラで、部下を解雇することに疲れ、もうマネージャーではなく担当のままで居たいと考えていました。仕事よりも家庭を優先していたこともあり、目立った業績を残しておらず、入社以来の評価は、ずっと可もなく不可もなくが続いていました。

 

Tさんには同僚が4人おり、皆優秀でいつかマネージャーになりたいと上司にも主張しているような人達でした。Tさん自身も同僚は自分よりも優秀だし、リーダシップが取れる人達だと感じていたのです。ただ、メディアでも取り上げられる「働き方改革」を盾に、他への影響を考えず自宅勤務の拡大を従業員の権利とばかりに主張したり、上司からの決められた業務以外の依頼は決められた業務外だと主張し、融通の利かない権利ばかり主張する点には、疑問を感じていました。

 

新年度を目前に控えたある日、自分達の上司がさらに上位のポジションに抜擢されます。そして空席となったポジションには、Tさんが後継として指名されたのです。そして、この日を境に、同僚のTさんに対する接し方が変わります。マネージャーとなったTさんの指示ひとつひとつに、もっともらしい理由をつけ非難したり、拒否するようになったのです。しかし、残念ながらその非難はもっともなもので、Tさんの能力が明らかに部下となった同僚達より劣っており、間違っていたからでした。

 

このようなことが重なり、次第にTさんが部下に対してマネージャーとして優位に立てる状況は、勤怠管理をきっちりすることや報告の徹底など初歩的なことしかなくなっていきます。それが部下となった元同僚からは、仕事ができないのに、日報の提出ばかり要求し、部下の求めるものには答えることができない、組織の風紀委員長としか思えず、ますます批判や不満が高まっていきました。

 

そのため、当初Tさんのチームには、4名の部下がいましたが、新体制発足後4カ月目に一人退職を申し出ると、翌月には2人同時に退職を申し出、発足から半年で産休から復帰したばかりで定時には退社する女性1人しか残らない事態に。

 

そして、たった数か月で退職者が3人も出る事態に人事が調査に乗り出します。調査は、Tさんをマネージャーに指名した上司にも及びます。しかし、上司はTさんをマネージャーから外すつもりは毛頭なく、このままTさんをマネージャに据えておくつもりです。なぜなら、自分の人選眼への疑いや任命責任を問われるからです。

 

このように、あまり能力の高くない人物が抜擢される場合、それはその組織は業績を重視しないことを公言しているのと同じ状態になります。能力の高い従業員は、失望し、抜擢された従業員を馬鹿にし従わず組織の統制が取れないどころか、どんどん退職してきます。

 

抜擢した上司のメンツのために組織が崩壊するそんなことを避けなければならないのですが、外資系ですすら自分の都合のよい抜擢が行われているのです。最後の産休明け女性社員がどうなったかまだ報告を受けていません。一刻も早く上位マネージャーが考えをあらためリーダシップに富んだ人選をされることを期待します。