自分ブランドの磨き方ブログ

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「非正規雇用=かわいそうな働き方」か?

 

www.nikkei.com

この記事にあるように、本日、政府は長時間労働の是正をはじめ、同一労働・同一賃金を導入する関連法案の提出を目指すことを盛り込んだ実行計画をまとめました。そのうちの一つである、同一労働・同一賃金を導入については考え込んでしまいました。

 

同一労働・同一賃金を導入のきっかけは、非正規社員と正規社員との待遇格差に由来するものですが、政府が率先し、企業に義務付けさせるべき事項なのかなと疑問に思うのです。

 

「同一労働」の定義は?
今回の働き方改革の目玉である同一労働・同一賃金。その同一労働の定義は、政府は見解では、文字通り、同じ仕事に対する対価(賃金)は、誰でも同じという考えだと言われています。

 

その導入の目的も、非正規社員派遣社員契約社員、アルバイト、フリーターなど)と正規社員(正社員)との給与格差を無くすことが狙いとなっており、非正規社員の賃金を底上げすることで、「若者が将来に明るい希望が持てるように」実施するというもの(首相談)。すごく響きが良く聞こえるこの言葉ですが、実際の現場で実現可能なのでしょうか。

 

同じ東芝の経理担当者でも、買収した子会社の業績不振で決算発表を1カ月先延ばしされ、死にそうになりながら会社の運命を左右する決算資料をまとめている経理部員と、各部門の経費精算のレシートをファイリングしている非正規の社員では、同じ経理データをまとめるという労働は同じだから同じ賃金にすべきだという主張はやや乱暴ではないかと。なぜなら、求められる経験と能力、そして責任の重さが圧倒的に違うからです。

 

政府指針は?

このような混乱が起こらないように政府指針では、基本給を

  • 「職業経験や能力」
  • 「業績・成果」
  • 「勤続年数」

の3つの要素に分類しています。ただ指針は、入社以降の経験や能力が同じであれば、非正規の職員という理由だけで待遇を正社員より低くしないように求めているだけです。業績・成果については言及されていません。加えて、政府指針では経験や能力などが同じかどうかの基準が示されていないため、結局企業が判断することになります。そのため、対応は各社それぞれ異なることになり、現在の人事制度の枠組みを変更しない企業も多いとみられています。

 

正規社員?非正規社員

なにやら、非正規社員が何か現行の法制度のもとで作り出された虐げられた存在のように感じられますが、実は非正規社員と正規社員の区別は法律で定義されたものではないのです。

 

日本大学の安藤准教授によると

  • 「無期雇用」
  • 「直接雇用」
  • 「フルタイム雇用」

の3条件を満たした場合に正規社員と呼び、一つでも満たさない場合に非正規雇用になるそうです。

 

そうなると、外資系企業に勤める正規社員は、もはや正規社員と言えなくなってしまいます。なぜなら、業績が悪くなれば人員削減、部門閉鎖など簡単に実施する外資系にとって「無期雇用」とはあってないものだからです(期待しているのはかなり少数派だと思いますが)

 

そのため、自分の身を守るため、就業後や休日の大半を、語学やビジネススキルに自己投資している外資系社員は信じられないほど多数います。外資系だけではありません。日本企業に勤めていても、シャープや東芝のような経営危機に直面することだってあります。昔と違い、日本では無期雇用は実現が難しくなってしまっている中、非正規社員と正規社員との待遇格差を議論することは意味がないではないかと思うのです。

 

さらに言うと、正規社員になりたいけれど、事情があって非正規雇用にならざるを得なかった人がいるのは事実ですが、自ら非正規雇用を選んでいる人もいます。自ら望んで非正規雇用になった人と不本意でなった人とを分けて考えないで、非正規社員だけをひとくくりにして、企業に正規社員と同一賃金を義務付けさせるより、派遣労働のメリット・デメリットを正しく理解した上で政策を実行すべきではないかと思うのです。