自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

休暇取得 権利と配慮

今年もあと数日。大半の企業が29日に仕事収めではないでしょうか?中には、年明け4日、5日、6日を休んで、11連休という人もちらほら聞きます。外資系ですと海外がクリスマス休暇で業務にならないので、もう一週前にも有給を使い、2週間以上休暇という人もいるようです。
 
2週間休めるなんて夢のようですが、そんなに休んで自分は大丈夫だろうかという不安が。そう思うようになった、21日から1/9日まで21日間にわたる休暇を取るSさんという女性のお話をしたいと思います。
 
Sさんですが、最近権利として認められている介護休業を終え復帰されたたばかりです。

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育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律で認められている期間は3か月に加え、Sさんは2か月を自宅勤務にして5か月間仕事から遠ざかっていました。
 
その介護休業の取得も、1か月前に上司に申し出たため引き継ぎが間に合わず、Sさん自身が要求した2か月の自宅勤務期間中にリモートで引き継ぎをするという条件で許可されたのでした。しかし、実際は介護で忙しいことを理由に連絡はつかないことが多く、引き継ぎは進まず、関連業務がストップしたり、同僚に多大な迷惑がかかることになりました。
 
Sさんが休業している5か月の間に、新たに赴任してきた部門トップが、このSさんの休業と、そもそものSさんの組織への貢献に疑問を感じ始めます。Sさんの業務は、単純作業ばかりで、今や多くの会社では外部委託か、派遣社員にり替えることが多いのです。
 
そこで、Sさんが再び休業しても、今回のような被害を最小限にしようという判断から、Sさんの業務を、Gさんをメインの後任として、他のチームメンバーへの移行を推進ことになりました。しかし、Sさんはこれを自分自身が職を失う危険と感じ、防御にはいってしまいます。
 
Sさん自身、50歳を過ぎています。これといったスキルはありません。実際その部門内における、相対評価でもかなり低い評価でした。加えて担当業務も単純作業が中心です。
 
それでも、過去何度も経験したリストラを伴う合併や部門売却などの試練を潜り抜けることができたのは、以前にも書いた高齢社員が自ずと身につける、自身の業務範囲のブラックボックス化によるものでした。
 
 
「簡単に業務を渡すものか」
 
そう思ったSさんは、徹底的に牛歩戦術で時間をかけます。また、情報を小出しにし、Gさんの手間を増やし、足をひっぱったりと様々な嫌がらせを始めるのです。
 
そして、自分の業務が、周囲が考えるほど単純作業ではなく、いかに特別で難度の高いものなのか、その業務遂行者としてGさんではなく、Sさん自身が適切であるという、印刷すると8ページにわたる長文メールを上司や部門のマネージャーたちに送りつけたのです。
 
Sさんがこれほどの長文を送りつけ、ここまで必死に今のポジションにしがみ付くのには、訳があります。子供いないSさんにとって、安定した老後を送るために、少しでも長く働き続ける必要があります。あと数年働き続ければ定年を迎え、会社が拒否することができない再雇用制度を行使できる。一方で、定年までの残りの数年に、チャレンジやリスクのある仕事はしたくない。これまでも、Sさんにとって新しい業務を割り振られるたびに、不満を書き連ねた長文のメールを送りつけるということは日常茶飯事だったのでした。
 
しかし会社は慈善団体ではありません。マネージャーもこのまま業務が円滑に進まないこと、Sさん以外のメンバーに業務が集中してしまう事態は見逃せません。何よりも周囲のメンバーからの不満は積もる一方です。
 
ここでマネージャーがすべきは、本来の会社はだれのためにあるのか?そのゴール達成のためにどうあるべきかに従い行動することです。この場合、上司は、会社、そして自分の組織としてパフォーマンスを最大にするためには、やはり当初通りSさんの業務をGさんや他メンバーへの移行だと判断して、いままで以上に強くSさんに促します。
 
もちろん、Sさんはますます抵抗を強めます。でも、Sさん自身は過去の経験から、これまでと同様に逃げ切れると確信していました。しかし、今回はそうではなかった。新たに赴任してきた部門トップは、この問題を部門内にとどまらず、いざという時に備え、人事に加え法務まで巻き込んでSさんをどうするか検討を開始していたのです。Sさんは、自分への包囲網が敷かれていることに気付いていなかったです。
 
休まなければならない理由は人それぞれあります。そして休むのも自由。でも自分の権利主張や保身ばかりで、周りへの配慮と貢献がなければ組織の一員として認めてもらえない良い例ではないでしょうか。