電通自殺とマスコミ
過労からくるうつが原因で自殺した電通社員のニュースが連日報道されています。このニュースで流れるたびに、これほどまでに報道を加熱させるマスコミにに違和感を感じていました。
どうしてこれほどまでにマスコミが取り上げるのか?ネットでは、自殺した社員が、美人で、東大卒、そして電通勤務という一般大衆とのギャップが、話題性や注目を引きやすいから等々言われているようです。
このように連日取り上げられる電通社員自殺のニュースと対照的に、マスコミに報道されることなく、過労によるうつが原因で自殺している人が驚くほど多くいる事実をご存じでしたか?
少し古い数字ですが、過労によるうつが原因の自殺は、警察庁生活安全局地域課作成「平成18年中における自殺の概要資料」によれば、平成18年の自殺者数は32,155人、うち勤務問題を理由とするものが1,919人にも達しています。また、すでに昭和58年には、勤務問題を理由とする件数が1,000件を突破しており、以降増加しているなど、すでに30年以上も前には社会問題化していたといっても過言ではない状態です。
そのせいか、日本の学術論文のデータベースである 国立情報学研究所CiNii Articlesで、「過労自殺」検索すると、労働経済学、心理学、医学など様々な分野において、579件もヒットするほどです。
今回マスコミが取り上げる以前から社会問題だった、過労、うつ、自殺に至る原因は何なのでしょうか?統計的にどのような企業で過労死が起こっているか、それを引き起こす要因は何なのか?電通=大企業=けしからん=ブラックだから、という安易な結論ではなく、では企業をブラックに走らせるのはなぜか、それはどうしたら防げるのか、引き続き考えて行きたいと思います。