自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

ヘッドハンターに3億円払う価値なし。人事部長に聞く2017

先日とある外資系大手企業の人事部長Aさんにお話を伺う機会がありました。戦後3番目の長さの好景気の最中にあるといわれているだけあって、Aさんの会社だけではなくどこの企業も人手不足のため、なかなか必要な人員を充足することができていないそうです。

 

それでも、これまでの採用方針と大きく違うのは、人手不足だからといって求めているスペックに満たない人材で妥協するということは一切しないということです。書類選考から面接、さらには入社前の身辺調査まで徹底的に行い、ベストな人材しか採用しないと言っていました。

 

今まで以上に採用活動に人事部や事業部門が労力を割かざるを得なくなるわけですが、その労力を減らし、人材採用のプロの目線で選定した人材を企業に推薦する役割を果たすヘッドハンターについては、一切使うつもりはないと断言しています。

 

その理由はコスト的な面です。ヘッドハンターに紹介された人材を一人採用するにつき、その人の年収の30%をヘッドハンターに手数料として支払います。採用した人材に年収1,000万円のジョブオファーを出すなら、ヘッドハンターに300万円払わざるを得ないわけですね。

 

人手不足といわれているわけですから、Aさんの会社をはじめ外資系企業になると、一つの企業につき求人中のポジションが20~50などというのも珍しくありません。中には数百名規模で採用をしている企業もあります。仮に100名の採用計画があり、前述の年収1,000万円クラスの人材をヘッドハンター経由で採用すると、ヘッドハンターに支払う手数料だけで、3億円!にも上るというのです。

 

ki44fukushima.hatenablog.com

 

2つ目は、このブログでも取り上げてきましたが、ヘッドハンターの質の問題です。過去ヘッドハンターといえば、大企業で役員経験のあるか、もしくはトップレベルのビジネススクールMBAを取得し、戦略コンサルティングファームでクライアント企業の社長や役員と対等に渡り合ってきた人々が中心でした。ヘッドハントする対象も、大企業の社長や役員クラスを対象にしていました。

 

しかし、2000年以降ネットによる転職が普及し身近なのになると同時に、ヘッドハンターはいつしかキャリアカウンセラーやコンサルタントと名を変え、同時に質の低下を招くようになります。その名前だけが先行し、肝心のコンサルタントとしてのサービスは、これまでのヘッドハンターと呼ばれていた時代のクオリティーとは比較にならない、単なる事務処理屋のレベルに落ちてしまいます。Aさんは、「数千万円〜億円の費用を払うだけのバリューを微塵も感じたことがない。」とも言い放ちます。

 

では、そのサービスはどの程度まで落ちてしまっているのでしょうか?特定の業種、特定の職種を専門とするキャリアカウンセラーやコンサルタント(以下ヘッドハンターで統一します)として仕事をしているにもかかわらず業界や業務についての知識量が圧倒的に不足している者や、推薦してくる候補者の学歴、職歴、経験と、ポジションの要求事項とまったくマッチしておらず、数打てば当たるとばかりに推薦応募を送りつけてくる者など、例を挙げればキリがないといいます。

 

ki44fukushima.hatenablog.com

 

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企業から不満の上がるヘッドハンターを使うことで、我々ビジネスパーソンの転職成功確率は実際どうなっているのか気になるところです。ヘッドハンター経由による応募、企業のLinkedInでの直接求人、社員紹介制度による応募などの採用チャネルを利用している企業B社によると、直近4半期で内定オファーを出した22名のうち、社員紹介を通じた転職が13名、LinkedInによる企業からの直接求人案件に応募したものが7名、企業Webからの直接応募が1名、そしてヘッドハンター経由による応募1名だそうです。

 

企業Webからの直接応募の場合、企業の要求水準と応募者のスキルのかい離が大きいことが多く、ヘッドハンター経由で紹介される候補者も同様の傾向があるため、ヘッドハンター経由の応募にかけるウェイトを下げることを検討しているそうです。

 

ヘッドハンター(転職エージェント)のサイトを見ると、そのエージェント経由だからこそ転職できたというメッセージをよく見ます。こうやって人事部長の方々のお話を聞いた後だと、双方の主張のギャップの大きさに驚かされるばかりです。また、多くの人が人事部の本音を知らないまま、転職機会を失っているのではないかと思うと残念でなりません。