自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

人事評価はもういらない?

ノーレイティングという用語をご存じでしょうか?

 

ノーレイティング(No Rating)とは、企業の人事評価制度において、毎年社員の業績に応じて、A、B、Cなどのように評価付けしていたレイティングを廃止することを意味します。

 

バブル崩壊を経て、失われた20年の間、これまで社員を評価し、どうパフォーマンスを高めるか、米国はじめ欧米の経営スタイルを取り入れることで打開策を模索していた日本の企業にとって、これまでの常識を覆す人事評価の考え方の登場に、日本企業、外資系企業問わず人事関係者の間ではホットな話題となっています。

 

すでに、米国では、ビジネス雑誌Fortuneが毎年発表している総収入の上位500社である「フォーチュン500」に入っている企業において、ノーレイティング導入の動きが広がりつつあり、2016年には10%、2017年中には50%の企業が導入すると言われています。

 

fortune.com

 

我々の周りに取り入れられている米国流の人事制度は、厳格に個人の成果を測定し、それを報酬に連動させるというものですが、ここにきてそのイメージとはまったく逆の動きが広がっていることは、とても興味深いところです。

 

では、ここにきて、米国企業が「ノーレイティング」を実施するようになった背景は何なのでしょうか?

 

2000年のITバブル、リーマンショックを経て、経営学行動経済学、心理学、さらには脳科学の分野では、これまでの社員を点数づけすること、そしてその点数が社員個々人の報酬に連動するという仕組みは、イノベーションを妨げ、個人やチームのパフォーマンスを低下させることが、主張されるようになっていました。市場のパイが限られるようになり、さらなる成長を実現するためには、パフォーマンスを最大化することです。そこで、ここにきて新たな人事制度として注目され始めたのです。

 

しかし、評価されないと聞いた途端に、導入に期待し、さっそく手を抜く社員が存在します。とある大手企業の人事部門トップにお話を聞いた際には、彼らは皆、「評価制度の廃止=皆同一賃金」を期待し、さらに賃金の額として、もっともパフォーマンスの高かった人材と同レベルに揃えることを要求し出したそうです。

 

ノーレイティングの導入方法には各社それぞれ異なっていますが、実はノーレイティングであっても、ここの給与やボーナスは差がつくことを忘れてはなりません。

 

ノーレイティングとは、あくまでも”レイティングしない”のであって、パフォーマンスなど上司とともにレビューし、できている点は高め、できていない点は改善するというパフォーマンスレビューを実施し、その働きの結果、給与やボーナスが決まる仕組みは今まで通り存在するのです。

 

米国や欧州諸国とは異なり、日本は従業員を簡単に解雇することが最も難しい国だと言われています。ノーレイティングと聞いて、イコール評価されないと思ってホッとした方、イコール皆同一賃金と思ってしめたと思った方、世の中そんなに甘くありません。

 

そもそも、日本の会社は、低い評価をつけることで社員のモチベーションが低下することを恐れ、みんな平均点の評価を下す会社が多かったのです。そんな日本企業にとって、ノーレイティングは、平均点を与える必要をなくしてくれる救世主なのかもしれません。会社は不要な人材を入れ替えを、レイティング以外の方法で、模索していますよ。