自分ブランドの磨き方ブログ

MBA、コンサル、本当に自分に必要?今の自分のブランド力で何ができるのか? 何を準備すべきなのか? 私自身の経験やさまざまな人たちとの交流を通じて、気づきなどをシェアして行きます

新卒就活生に受け継がれる誤解

最近就活を控えた大学生と接する機会が多くなったのですが、3月に大手の就活サイトが一斉にオープンすることから、いよいよ就活が本格化するようです。といっても、すでに学生達は、自己分析や業界研究を終えており、準備万全で、実際の選考フェーズが開始するのを待つばかりの状態の学生も多く、頼もしい限りです。

 

学生の就活への取り組みや考えを聞いていると、時代が変わっても、学生は学生なりの限られた情報の中で右往左往して、我々の時代と基本的に変わらないと感じます。ネットの時代なのでネット検索は活用するものの、基本は昔と同じ部活やサークルなどの身近な先輩からの情報が、彼らの判断の大部分を占めるようです。

 

学生が語る内定を勝ち取るための戦術ですが、

  • TOEICは900点は必要
  • 業界に関連する資格は必須

とスキル依存かと思えば、

  • 資格スコアやスキルよりも一緒に働きたいと思わせることが重要
  • 愛想と笑顔は大切
  • 人事にアピールを忘れないこと
  • 面接官がメモ取って話聞いてると合格
  • 質問内容が合否を左右する

などなど、後半はなんだか根拠のない伝説みたいなものも並びます。とはいえ、はるか昔の自分達もこうだったと思うと懐かしく感じたりもするのですが、自社の次を担う人材がこんな感じで果たしていいのかという疑問もよぎります。

 

学生と採用側の間には、経済学でいう情報の非対称性みたいなものがあり、学生の考えだけではなく、交渉においてパワーのある採用側の人々の考えを聞いてみたいと思っていたのですが、先日、採用に関わる某社の事業部門のリーダークラスの方々とお会いする機会があったので伺ってみました。そして、改めて学生の視点とのギャップが大きいことに驚かされます。

 

上記学生の考えのうち、採用側の考えをいくつかを挙げると

  • TOEIC:スタートに立つための指標の一つであって、帰国子女でもバカなら取りません
  • 人事にアピール:人事は窓口でしかなく、採用の判断は各部門や管理職や部門長判断です

という軽いものから、

  • スキルよりも一緒に働きたいか?が重要:終身雇用はとっくに崩壊しているので、家族主義、サークル仲間ノリはそれほど重視していません。各自の能力と将来中心戦力になりえる知識や姿勢があるかより現実的な指標を見るようにしています

 

と学生の目線とまったく間逆なことに驚かされます。本当に就活うまくいったパイセンの話を鵜呑みにしている学生がいたら、大変なことになってしまうかもしれません。


なかでも、部門長として採用を担当された方のお話は、機動戦士ガンダムの例えが秀逸だったため、そのまま共有したいと思います(この方はすごく立派なビジネスパーソンです)。

 

「自分が1年生だったころの3年生や4年生の先輩で、今入社2~3年目程度のレベルの人から得た情報に基づいて準備した学生は、すぐわかりますね。で、先輩面する先輩と後輩の画を浮かべながら話を聞いています。普通の学生を特徴のない量産型のジムに例えるなら、先輩の話を聞いて研究してきた学生は、ジムに少し手を入れて性能がちょっとだけ上がったみたいな感じ。でも、少し背伸びしているけどベースはやっぱりジムでしかない。」

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普通のジム(右)とちょっと性能の上がったジムカスタム(左)。こうしてみるとかなり進化しているようにみえますけど・・。ガンプラBLOGさんのページからお借りしました。

 

「ジムは、自分で何かを創出する、プロジェクトを推進することができる、たとえば一人で戦闘空域を突破できるようなガンダムにはなれないし、ガンダムになる可能性がある人が欲しいんですよね。実際採用では、充足目標あるし、辞退率考慮して多めに内定出さざるを得ないので、ちょっとだけ改良されたジムや場合によっては普通のジムにも内定出さざるを得ない。そのせいか、たまたま内定を得たのかもしれない社会人2・3年目の先輩の成功体験が後輩学生の間でシェアされて、それに影響されて同じ感じになってしまうから、なかなか際立つ人材にはめぐり合えないんです」と言います。

 

さらに「早い段階から、各社、いろんな業界の30代後半から40代のミドル、できれば採用を担当を依頼されるようなエース級のミドルに話を聞いて、そこから今、10年後、20年後の自分に何が必要か考え、準備してほしいけれど・・・」と付け加えます。

 

就活情報の頼るソースが間違えてました的な結果でしたが、いざ学生にしてみれば、ミドルなど中核を担う人材とのコネクションもないし、話を聞く機会もないかもしれません。でも、逆に言うと、無くてもOB/OGリスト片手に電話掛けまくりアポを取り、話を聞くようなバイタリティある人は、そこから得た情報を元に採用プロセスで、ひと際際立つのでしょう。

 

そもそも、満足いく就活ができたという先輩から情報を得て、就活に活かすというスタイルを疑ってみることも重要ではないでしょうか。ミドルの生の意見を聞く機会がシステムとして用意されれば、日本の新卒労働市場における負の連鎖を止めることができるのかもしれません。一方で、我々ミドルも、学生の期待値に応えられる実力が伴っていなければならないですね。

 

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下記の記事で、入社2年目の社員が新入社員に先輩面という記事がありますが、就活の段階でも共通するものがあるのかもしれませんね。

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